![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
4.スローライフのヒント 〜7.森林・雑木林の整備・管理〜 http://inakalife.net/ |
---|
|
|
『樹皮ハンドブック』 | |
樹皮から樹木名を特定するためのハンディな図鑑 | |
道を歩いている時に目にする街路樹。郊外の緑豊かなところを散歩したり、さまざまな野外活動をしたりと、木を目にする機会は多い。その時、ふとこの木は何だろうと気になることがよくあるものだ。そんなときは、写真付きの樹木関係の本があると何かと重宝だ。しかし、それらは、葉で見分けるもの、花で見分けるものが一般的だと思うが、樹皮で見分けるように構成されたものは少ないと思う。 花は一年中咲いているものではないし、葉だって秋も深まれば枯れてしまう。また、よく似ている花や葉もある。薪ストーブ愛用者などに至っては、入手した薪・丸太が何の木であるか知りたくても、葉や花は手がかりにできない。そこでこの『樹皮ハンドブック』の出番である。 私の場合は、昨夏に葉から樹種を特定した後、今春の花の時期に「何か変だ」と気付き、結局この本を入手して、樹皮から自分の間違いを正したという経験をした。このようなに、写真がきれいでハンディなこの本は、本当に実用的なお役立ち本である。 樹皮の分類は難しいと思うが、この本の最初は、「樹皮一覧表」と題した写真のインデックスで、150種類超の掲載樹皮を、「横・筋」13種・「平滑」38種・「縦・筋」19種・「縦・裂」54種・「網・裂」13種・「斑・剥」17種に分類し、掲載ページを示している。本編は「常緑針葉樹」・「落葉針葉樹」・「落葉広葉樹」・「常緑広葉樹」・「その他の特徴的な樹皮」の5グループで構成されている。木は、若木・成木・老木で樹皮が異なる場合があるので、そのような木については、それぞれの写真が別に掲載されている。枝葉の付き方・葉の画像のほか、樹皮・樹形・分布・利用などの簡潔な解説もある。巻末には、樹木名の索引も掲載されており、ハンドブックとしては申し分ない内容になっている。 |
|
<TOP頁|リスト頁|頁先頭> | |
|
|
『チェーンソー パーフェクト マニュアル』 | |
チェーンソーとその操作などの基本を解説 | |
この本は、『夢の丸太小屋に暮らす』編集部によるチェーンソーの解説本である。全ページにわたって見やすい写真・イラストがふんだんに使われており、非常に見やすく読みやすいものとなっている。 全7章立てで、第1章は、各部の名称と構造や役割の解説、第2章は作業前の確認・準備、エンジンのかけ方、持ち方、および玉切り、斜め切り、平面カットなどの基本的な切り方の解説である。 さらに、第3章は、立木の伐採と玉切り・枝払い、第4章はウッドランプ、ポスト、イスなどの作品の作り方やチェーンソーアートの紹介となっている。また、第5章はログハウスづくりのためのノッチワーク、第6章は目立てをはじめとするメンテナンスについての解説する。最後の第7章は、冒頭でチェーンソーの選び方に少しだけふれているが、ほとんどがカタログである。選び方のページで、ガイドバーの「長さ」を表していると思われる数字に付いた単位がすべて「センチメートル」ではなく、「立方センチメートル」になっているのは、単なるお粗末な誤植だろうか。 表紙に「チェーンソーをもっと楽しむための本」と書かれているが、「もっと楽しむ」というよりは、構成・内容とも入門書的なので、チェーンソーに興味を持った人、これからチェーンソーを買って何かしようという人が、一通り読んでみるのに向いているように思った。 なお、この本は「パーフェクト」と題しているが、わずか全96ページの本であり、しかもそのうち23ページは本体と関連グッズのカタログであって、内容はためになるが、ボリュームは乏しい。それならば、メーカーからもっとしっかりと広告料をいただいて、本の価格は1,000円台前半くらいに抑えて欲しいように感じた。また、カタログも単なるメーカー別の羅列ではなく、「チェーンソーの選び方」で解説している用途や必要な機能・性能などのチェックポイントを軸として各メーカーの適合機種を比較紹介するような編集ならば、読者にとっては一層具体的なイメージが湧きやすいと思った。 |
|
<TOP頁|リスト頁|頁先頭> | |
|
|
『プロが教える 森の技・山の作法』 | |
代々伝承されてきた動力によらない道具を使った森林作業の方法を解説 | |
著者は、若年時から林業を営む父から山林作業の技術を受け継ぎ、退職を契機に「新島林業塾」を主宰し、次世代への継承に取り組んでいる。本書は全5編構成で、それを解説する。 1.「山仕事の基礎 編」 基本道具・境界・歩き方・身支度・休憩・表土・目測など 2.「道具の使い方 編」 ナタ・カマ・ノコ・ロープ・ハシゴの使い方・手入れ 3.「森の技 編」 簡易な測定法・ボヤ刈り・地拵え・植林・下刈り・間伐・枝打ち・丸太割り 4.「山の環境づくり 編」 歩道づくり・休憩場所づくり・丸太の架橋・広葉樹の山づくり 5.「山の作法 編」 慣習に学ぶこと・技の伝授・山の神様と安全 書名に「プロが教える」とあるが、現在広く普及している刈払機やチェンソーなどのエンジン機械については、全くふれられていない。下刈りなら造林鎌、伐採なら鋸である。したがって、刈払機やチェンソーの使用法の習得を期待してはならない。もっとも、そのような知識に対するニーズについては、製造メーカーなどが、安全対策と普及を図るため対応しているだろう。 本書の価値は、昔から伝承されてきた手道具や現地調達できるものを使った山仕事の「知恵」の伝授を、口伝・体得によらずに記録化しているところにある。現場に入ればすぐにわかることだが、刈払機とチェンソーの安全で効率的な使い方をマスターしているだけでは、仕事にならない。それ以外の道具を使って仕事をする場面は多々あるし、ちょっとした作業をする場合にはエンジン機械ではかえって非効率なこともある。 山仕事の方法は決し一般には普及していないし、後継者不足もあって、長年にわたって日本各地で累々と蓄積されてきた「英知」は消滅しつつあるように思う。そのような中で本書の価値は大きいと言わねばならず、プロ・アマや個人・団体を問わず得るところが大きいだろう。 このような本は、座学に供するだけではもったいなく、ハンドブックとして現場に携行し、徹底的に活用したいところである。しかし、残念ながらさしたる厚みもない割にサイズがほぼA4版と不相応に大きいと思う。イラストはシンプルでわかりやすいが、少し大き過ぎはしないか。 ページ数を倍増させてサイズを半分以下に抑えて欲しいというのが、読者としての率直な感想である。あわせて大幅なコストダウンを図っていただきたい。これらの書籍の収益が全林協の運営資金に充てられているところは理解できるが、この情報量で1500円は高いと思うが、いかがなものか。 |
|
<TOP頁|リスト頁|頁先頭> | |
|
|
『森づくりテキストブック』 | |
里山林を整備する目的と方向性を明確にすることとその整備のあり方を解説 | |
この本は、全7章立てで、導入にあたる第1章では、里山林が歴史的にどのように形成され、どのような変貌を遂げて今日に至っているかという記述から書き起こしており、内容的な奥行きを感じさせる。第2章では、天然林や針葉樹の人工林とは異なる里山林の特性を解説し、コナラ・ミズナラなどのそこに典型的な樹種の特性を説明している。 さらに、この章の後半からが本題の調査・整備・管理の話になるが、ここで著者は整備・管理の目的と方向性を明確にしてから活動に取り組むべきであると述べる。基礎的にして最も重要な視座だと思う。そして、この提言の観点から、1)景観を楽しむ、2)生物多様性を保護する、3)バイオマス生産の場とする、4)野外レクリエーション・教育の場とする、5)天然林への遷移を促進するという5つの具体的な目的・方向性ごとに、それぞれの整備目標のあり方を展開している。 第3章は、下草刈り、つる切り、落ち葉かき、もやかき、伐採、造材、運搬・保管などの個別具体的な「作業マニュアル」となっており、薪・炭・ほだ木・堆肥・チップの作り方やソダの活用法、ビオトープづくりから、遊びやクッキングに至るまで、里山林の利用を幅広く紹介している。 第4章は、生物多様性が極端に低い竹林の管理の解説に充てられている。第5章は針葉樹の人工林とその樹種の特性の解説、および環境人工林を目指して広葉樹との混交林化をすすめていくための整備のあり方と、枝打ち・間伐の方法、間伐材の利用などを紹介している。第6章は必要な道具・装備とその使い方の解説である。また、最後の第7章では活動の場探し、および組織作りとその運営についてふれている。 深みと広がりを持ったボリュームたっぷりの総合的な解説書と言えると思うが、それだけに読み手側の具体的な関心・視点が定まらないまま読み進むと、ともすれば「樹海」に迷い込んだかのような状況になるかもしれない。 この本を2度目に読むにあたり、自分(自分たち)の目的・方向性を予め明確にせよという、著者の第2章での提言を今一度きちんと認識して通読したところ、かなりクリアーに理解しながら読み進むことができた。里山林に知的関心のある人にも、その整備を実践しようという人にも、おすすめの1冊である。 |
|
<TOP頁|リスト頁|頁先頭> | |
|
|
『森づくりワークブック 雑木林編』 | |
市民活動による雑木林管理のあり方や方法を詳細に解説 | |
この本は、市民活動による雑木林の整備・活用のあり方を平易に説いたものである。監修者はここ10年来高まってきた市民による雑木林の整備・活用について、アマチュアの姿勢に徹すること、市民活動を全国規模で見たときに、点から面へと拡大していくこと、さらに雑木林の整備で生み出されるさまざまなものを、クラフト等の素材、バイオマス燃料などとして活用していく流れを作り上げていくこと、適切に組織化された各市民団体がその活動を積極的に発信し、かつ相互のネットワークを構築して技術や情報を共有していくべきことなど、今後の市民活動の進むべき方向性を説いている。 内容もこの方針・方向性を的確に踏まえた構成となっており、平易でわかりやすいものとなっている。全5章立てであるが、第1章「森づくりの基礎 里山の雑木林」では、雑木林の成り立ちとその荒廃、改善のポイントと生物多様性の尊重など、現代にあって雑木林を管理・再生することの意義を説き、活動フィールドの探し方などを解説する。 第2章「みんなでつくろう、雑木林の管理プラン」では、雑木林を地域に役立てるプランづくりを解説する。管理プランめざす方向性、調査のしかた、ワークショップ方式の効果的活用、パソコンとCDを活用した管理マニュアルづくり、実際の活動事例などを紹介する。 第3章「森づくりワーク」では、具体的な作業の方法を解説した章である。毎木調査の仕方、下刈り、笹の処理法、つる伐り、もやかき、落ち葉かき、竹林の管理、間伐と枝打ち、苗木づくり、伐木、丸太づくり、間伐材の集積法、木から落ち葉に至るまでの運搬法、薪づくり、チップづくり、竹の利用法、シンボルツリーなど、雑木林に残す植物の効果的活用など、作業技術をわかりやすく体系的に示している。 第4章は「雑木林を楽しむ活動いろいろ」として、遊び・食事・癒し・アート活動などを簡潔に紹介する。最後の第5章では「快適、安全な活動のために」として、持ち上げる動作、子どもの参加のあり方、作業量と内容の見極め、休憩場所とトイレの設置法など、安全・快適・継続性を維持していく方途が示されている。また、後半では、作業現場を離れて広報、ネットワークづくり、スキルアップのための学習活動、子ども向けの教材づくりの意義・方法・留意点などを解説する。さらに市民グループ活動のためのリスク管理のあり方、道具に関する注意によるあり方までもが解説されている。 全体を通じて、雑木林の整備に携わるものにとっては有益な内容となっている。ただし、読者側の選択の問題と言えばそれまでだが、出版時期をほぼ同じくして、内容のかなり重複する本(『森づくりテキストブック』)を他の出版社からも出版するというのはいかがなものかと思う。 |
|
<TOP頁|リスト頁|頁先頭> | |
|
|
『現代雑木林事典』 | |
雑木林に様々な関心を抱く人のための入口となる一冊 | |
「全国雑木林会議」がネットワーク化を進めて10年間の活動によって得た知見などを主に市民ボランティア・学校などを主対象に、各項目を五十音順に配列して編集した事典である。 通読してみると、五十音順に配列するまでもなく、大項目を設けて編集した方が使い勝手か良さそうな気もしたが、その点は、目次を「分野別目次」として、「総論」・「活動」・「管理」・「生産」・「利用」・「植物」・「生態」・「福祉」・「歴史」・「総説」の10項目に分けるなどの配慮がなされている。 ほぼ70名で分担執筆している各項目は、基本的に見開き1ページにまとめられている。カラーではないが、イラスト・写真なども効果的に組み入れられている。また、各項目ごとに、執筆者のプロフィールが左ページ下に紹介されている。さらに、右ページ下には必要に応じて参考文献も示されていて、各項目内容をさらに深く知るための配慮などが見られるなど、信頼性が持てる構成になっている。 事典のスタイルをとるので、興味や必要のある項目だけを拾い出してで読むのもまたよいと思う。個別の内容については、「喰い足りなさ」を感じるものも少なくないが、それは事典の性質のなせる業で、この事典の項目に執筆されている内容をインデックスにして、必要なテーマについてはさらに他の本で勉強を進めていくというスタイルをとるのがよいと思う。 最後の「総説」の“大トリ”にあたる松下芳樹「現代社会と雑木林」は、大いに共感できる内容だった。全10ページを費やして、現代社会の人と自然と社会の関わりが持つ問題点と人間(自己)回復の必要性、雑木林での活動における「遊び」の要素の重要性など、評者も個人的に歴史や日常生活、また雑木林での活動の中で常日頃感じている内容が整然とした論旨で示されていて、多数の執筆者の活動の集大成を集めて編集したこの事典の総まとめにふさわしい内容だと思った。 |
|
<TOP頁|リスト頁|頁先頭> | |
|
|
『雑木林をつくる 人の手と自然の対話・里山作業入門』 | |
雑木林のある里山の景観を守る市民ボランティア活動や作業を紹介 | |
この本は、昭和30年代くらいまで、江戸・東京などの人口密集地の薪炭の消費を支えてきたが、高度経済成長下のエネルギー革命の進展で放置されるようになった近郊の雑木林の価値を見直し、行政と連携しながらその管理・保全を実行するボランティアの創設や運営の中心となってきた市民や学識経験者の共著によるものである。 「T イラスト 雑木林作業をやってみました」では、雑木林とその管理をする人の年間のサイクル、具体的な作業と道具の紹介、雑木林の産物の利用などが解りやすく図解されており、要領を得たイントロダクションとなっている。「U ドキュメント 雑木林をつくる」では、多摩市落合第五児童公園をフィールドに管理保全や活用の取り組みをしてきたボランティア団体の10年間の具体的な活動の足跡がまとめられている。笹刈・植樹・剪定・間引き、落ち葉かき、萌芽更新などの作業のほか、植物調査、キノコ栽培や炭焼きなどの活動もリポートされている。 「V キーワード 雑木林とのつきあい」では、歴史的に見て人は雑木林とどう関わってきたかや興味関心のある人が、これから具体的にどうやって関わっていけばよいのかという方法が解説されている。「W ネットワーク」では、「市民参加の森づくり:よこはま方式」としてボランティア団体の取り組みが紹介されている。 都市化された現代人にとって、森林作業は無縁の世界だが、作業の具体的な内容を知る上では、サブタイトルに「里山作業入門」とある通り、導入の書として有用であると思う。ただし、雑木林や里山を管理・保全する必要のある人や、したい人は、必ずしも団体を組織して活動をするわけではなく、純粋に作業のノウハウを学びたい人には、いささか食い足りない感があるかもしれない。 |
|
<TOP頁|リスト頁|頁先頭> | |
|