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 4.スローライフのヒント  〜 4.パーマカルチャー 〜             http://inakalife.net/


『パーマカルチャーしよう!』
パーマカルチャーの思想をとりいれた様々な実践・体験などをつづった文集

  この本は、2003年から開講されている安曇野パーマカルチャー塾に集う人々の企画によるもので、オーストラリア生まれの実践的学問「パーマカルチャー」をキーワードに、同塾の多方面にわたる関係者による実践報告・体験記や散文・詩、提言など、35本あまりの原稿から構成されている。

 内容は、「パーマカルチャーとは」から始まって、創始者ビル・モリソン氏の思想の紹介、生活ゾーンのデザイン、循環型ライフスタイル、自然農、セルフビルド、日本の国内外の循環型地域コミュニティなど、多岐にわたっている。よく言えば、アラカルト的で、興味のあるテーマから拾い読みできる点がメリットであるが、一方で一書としてのまとまりや展開性は乏しく、「パーマカルチャー」を体系的に知りたいという人が最初の一冊とするには向かない。

 写真が豊富に盛り込まれていて、視覚的にもわかりやすく構成されており、いろいろなところで、いろいろな人たちが様々なことを考え、様々な取り組みを展開しているということを知るきっかけとなる書ではある。個別のテーマについて明確な興味が固まっている場合は、その専論の書を入手して深く追求することになるだろう。

 余談だが、日本における「パーマカルチャー」の実践については、創始者が前近代の日本のライフスタイルに学ぶべきことを指摘している。全く以て創始者ならではの慧眼という他なく、明治以来の近代化の中で、前近代的、封建的として全否定された観のある江戸時代であるが、江戸の社会は農村はもちろんのこと、都市も水や緑と調和した高度な循環型社会であったという。日本にあっては、外国の文献から「パーマカルチャー」の基本をきちんと一通り学んだら、日本列島に生きた我々の先人の暮らしに大いに学び、日本の風土に根ざした永続的な循環型社会や循環型生活が模索されていくべきだろう。
 ※江戸の社会については、鬼頭宏『日本の歴史19 文明としての江戸システム』(講談社、2002年)の一読をおすすめしたい。


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『パーマカルチャー 農的暮らしの永久デザイン』
自然環境を生かし、共生していく住まい方を提起した本

 パーマカルチャーとはpermanent(永久の)とagriculture(農業)、permanentとculture(文化)の合成語であり、人間にとって恒久的に持続可能で、かつ生態学的に健全で経済的にも成り立つ環境システムを作り出すデザイン体系のことである。

 この本は、パーマカルチャーの基本原則の解説に始まり、用地の全体設計、家屋の設計、菜園・果樹園・林地などの設計や動物の飼育システムなど、自然物や自然エネルギーを効果的に制御・活用して人間の生活に必要な環境の構築する術を解説している。人間の生活のための活動は、あらゆる知と労働力を総合する営みであり、さまざまな学問分野にまたがる工夫が豊富に紹介されている。これらは現代都市文明のなかで徐々に忘れ去られつつあるもので、この本によって初めて知った工夫も少なくない。

 大判で緑色を貴重としたシックな表紙をめくると、内容もイラストも少々「お堅い」本なので、スイスイ読めるというわけにはいかず、いささか取っ付きにくい本ではある。しかし、「環境」や「自然との調和」・「自給自足」などの言葉に敏感に反応する人や田舎などでこれから土地や住まいを整備する計画を持っている人ならば、じっくりと興味深く読み進めることができ、かつ有用な知見も得られる一冊といえるだろう。

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