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2.田舎移住体験記 (〜2004) http://inakalife.net/ | |
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『新・北海道移住』 | |
北海道移住者と北海道の地域特性を詳しく紹介 | |
「北海道移住」と言っても、札幌もその範疇に含まれているので、本書の対象は必ずしも「田舎暮らし」だけに収まりきらない。本書では、移住元・移住先の地域・生業など多岐にわたる10の事例をとり上げながら、さまざまな北海道移住のスタイルを紹介している。北海道での日常生活の特徴、特に冬場の生活などが、十分なページ数を割いて詳しく紹介されており、北海道暮らしのイメージづくりにはおすすめの一冊といえる。 ただし、「広い北海道ゆえ、地域ごとの特色もさまざまであることはわかったが、特に関東や関西から来る人からみればどこも『寒くて雪が多い』ことに大差はないだろう。データばかりみて北海道内のどこに住むのが快適かと考えるのは、あまり意味がない。」(43頁)という一点については、承服しかねる。実際、評者も移り住む前にそう聞いたが、とんでもない話だ。 この20年余の経験では、北海道は寒さの程度も雪の量も、冬以外の気候も、地域ごとに全く異なる。−20℃を切る寒さの中で生活してみればよくわかる。移住希望者には、引用部分より前の「気候の違い」をよく読み、事前に直接体験することをおすすめしたい。 |
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『会社を辞めて田舎へGO!』 | |
脱サラして栃木に移住した父による田舎暮らし幸せ家族のエッセイ | |
元『プレジデント』編集長(46歳)が年収1300万円の生活を捨て、田舎暮らしを始めたら、ただの「おじさん」になれたという田舎暮らし体験記である。セカンドハウスを建てた栃木県馬頭村に思い切って移住した体験をつづっているが、東京時代の経歴を村の中で引きずることなく、まさに「ふつうのおじさん」として誠実に村の人たちと接していることが、周囲の人に助けられながら日々充実した暮らしを送れる秘訣なように思われた。 会社を早期退職して田舎へ移住するためのマニュアル本の体裁はとらないが、読んで参考となる記述もあるし、また楽しくもある。特に、妻と中1の息子の田舎暮らしへの適応過程が、とても楽しく感じられた。妻子に「あとはお父さん(の仕事)だけだ」といわれて立場が危ういというが、東京でのサラリーマン時代に、妻子がここまで「お父さん」の心配をしてくれたことがあっただろうか。まさに、田舎暮らし幸せ家族だ。 |
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『田舎暮らしは楽じゃない』 | |
『田舎「育ち」は楽じゃない』ようです−田舎暮らしの本ではありません | |
この本は、関東のある田舎で公務員夫婦の子に生まれ育った20代前半の著者が、田舎のマイナス面を紹介した前半部分と、自分の生い立ちを振り返る後半部分からなる。幼少時から世間体を気にすることを求められ、母と同じく自律神経失調症になって、都会に出たという。 タイトルに「田舎暮らし」とあるが、内容的には当サイトで紹介すべき本ではなく、また田舎暮らし志向への有効なアンチ・テーゼにもなってはいない。本書のタイトルは「田舎育ちは楽じゃない」とでもすべきだったと思うが、田舎育ちの青少年みんなが自律神経失調症になっているわけではない。 当サイトで本書をあえてとり上げたのは、田舎暮らし志向の人が、特にオンライン書店の画面でタイトルだけ見て、大変ながらも何とか田舎暮らしを続けている人のエッセイだと勘違いしたり、田舎暮らしで心得ておくべき耳の痛い戒めなどを書いた本だと勘違いして購入しないようにと思ったからである。本書に限らず、内容が書名から類推しづらい本というのは、いかがなものだろう。 |
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『虫嫌いの田舎暮らし』 | |
徳島在住の脱サラ就農者が描く虫・鳥・動物・菌類の営みと人間との関わり | |
『虫嫌いの田舎暮らし』とい書名から、はじめは虫嫌いの人の生活体験を通じた、田舎での虫の駆除法や回避法を紹介した本かと思った。しかし、虫を完全に拒絶する内容だと思ってページをめくると、書名と内容のうれしいミスマッチであることがわかった。 この本は、脱サラ就農した著者が田畑などの虫の生態を紹介し、また人と虫との関わりをつづっている。その「関わり」とは、すべての「害虫」との単純な敵対関係ではなく、ある種は駆除し、ある種とは棲み分け、ある種とは共生する。ときには近所の人や家族も登場して、恐怖・驚き・怒り・憎しみ・悲しみ・笑いに満ちたストーリーが展開する。また、虫だけではなく、まむし・青大将・鶏・野鳥・カラス・うさぎ・猪・猿・イタチなど、爬虫類・鳥類・哺乳類、果ては、かび・発酵菌・腐敗菌などの菌類もとりあげている。 田舎暮らしとは、生態系の側面からみると、人間も含めたそこに生きる多様な生物が、時に格闘し、時には互いに自然の恵みを分かち合いながら共生していく暮らしと言えそうだ。 |
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『沖縄移住計画』 | |
沖縄移住した人の事例と移住のための地域情報を紹介 | |
書名に「移住計画」とあるが、「計画」ではなく、沖縄で生活している移住者への取材をもとに、移住の経緯や現在の暮らしの様子の実例を多数紹介している本である。また、「本土」とは風土や文化が大きく異なる沖縄を、より深く知るためのコラムや付録も充実している。沖縄の自然や生活を映し出したページいっぱいの大きなカラー写真も豊富で、沖縄のすばらしさをいかんなくアピールしている。 ただし、読者をひきつけようと沖縄のイメージのみをアピールした、「移住計画」という本書の主旨に照らして必要性の落ちる写真も少なくなかった。例えば、モノクロのイラストで紹介されていた「コラム4 沖縄家庭料理」のメニューこそ、カラー写真で紹介してほしかった。また、著名な出版社の本であるが、推敲・校正不足が目立つ。一読しただけで6〜7カ所はあっただろうか。 しかし、少々の不満はあるにせよ、沖縄に住んだことのある人でなくてはわからない、生活事情・住宅事情・就業事情などの有益な情報が満載であり、「沖縄移住計画」を企てようとする方には、ぜひ一読をおすすめしたい「生活体験談集」である。 |
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『牟礼の里にひとめぼれ』 | |
長野に移住して出会い、ふれあった生き物や地域の人たちがくれた感動と癒し | |
生まれも育ちも東京の筆者が大学院生の息子に先立たれた後に、夫婦で長野県の牟礼村に1998年に移住し、6年目に綴ったエッセイである。 慣れない雪道での犬との散歩、自宅に現れるタヌキ、スズメバチの襲撃と手当の顛末、ツバメの子育て、拾い猫の繁殖と死、冬眠前の熊の人里への出没、飼い犬にした迷い犬の失踪とけがを負っての帰宅など、主に生活の中で目にする生き物(命)の営み、筆者と生き物(命)とのふれあいを描く。 また、道で行き交う見ず知らずの人と交わす挨拶の温かさ、早朝から新聞配達にいそしむ近所の子ども、リンゴ畑のお手伝い(「助っ人組合」)での「アクシデント」など、Iターン移住者である著者と地域の人たちとの交わりにも触れられている。読んでいて重苦しさはなく、軽快に読み進められるエッセイである。 |
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『65人が語る沖縄移住』 | |
沖縄移住した人への取材を通して沖縄での生活などを紹介 | |
本の冒頭に、移住者150人に対する20問あまりのアンケート結果が示されており、本編から得られる有益な情報は、すでに冒頭で出尽くしているような感がある。 本編では、「住む」と題し、1人見開き2ページで、48人の移住者のプロフィール、移住前と移住後の生活や仕事、体験に基づくアドバイスなどが紹介されていて、これが本書の大部分を占める。本当にさまざまなケースがあると思わされる一方で、核心となる情報の量のわりにボリューム過多で、読んでいて中だるみした。 次いで、「離れる」と題し、1人1ページずつ7人のケースが紹介されている。不本意ながら沖縄を離れざるを得なかった要因は、やはり生活費の確保にあるようだ。また、「計画する」と題して、10例紹介されているが、なぜかすでに住んでいる人も含まれている。結びは、賃金や賃貸不動産事情、年中行事やイベントなどのお役立ちデータ編である。本書は、本格的に沖縄移住を検討する手前でまず読んでみるのがよいように思えた。 |
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『生き方としての田舎暮らし』 | |
自らの信条に基づいて始めた房総での田舎暮らしの苦労と喜び | |
著者は東京生まれの東京育ちで、中学校長を早期退職して房総で田舎暮らしを始めた。著者の田舎暮らしの特色は、あるべき田舎暮らしの理念の確立が移住に先行している点である。「@自然とともに生きる。A自分で作る。B金儲けはしない。C日没後は早く眠る。」というのがその信条である。 本編ではまず、田舎暮らしを始めてからの6年間、2頭の秋田犬と30羽の鶏などの生き物とともに暮らし、農作物の「自作」、古代米栽培やブナの植林などに取り組む著者の考えが述べられ、またその実際上の苦労や喜びも綴られている。 また、表面的なきれい事では済まない今日の農山漁村の危機的な姿、田舎特有の習慣・慣行などを紹介し、移住後どのように田舎の社会と関わっていくべきかをアドバイスしている。さらに、最後には田舎暮らしをしている4人の仲間のさまざまな暮らしぶりや取り組みも紹介されている。 田舎暮らしを決意したら読む本というよりは、田舎暮らしに踏み切るか否かを決める参考にすると良さそうな1冊である。 |
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『田舎暮らしなんか怖くない』 | |
八ヶ岳エリアの魅力と近所づきあいなどの田舎暮らし体験 | |
大病を患うも、八ヶ岳エリアで人工透析をしながら田舎暮らしを営んでいる元コピーライターの本。内容は大きく2分され、前半では、自分が田舎暮らしを始めた経緯や現在暮らしている八ヶ岳エリアの自然環境や歴史的環境、現在の住環境などを紹介している。景観の美しさ・温泉・名水など、その魅力が綴られている。さらに、集落内での近所づきあいのあり方を、まず村や集落自体の社会構造などから説き起こしている。その上で、自らの交際のスタイルを説明しており、ともに参考になる。 また、後半では、八ヶ岳エリアに移住して田舎暮らしを営む人々の事例が、著者の取材で紹介されている。菜園・製陶・薪づくりなどをしながら定年田舎暮らしをする人にはじまり、家具製作・能面打ち・パン屋・うどん屋・そば屋・喫茶店など、さまざまな生業で生活を営む11人の例が登場する。 全体的に読みやすく、特に八ヶ岳エリアに興味のある人、近所づきあいで悩みや迷いのある人などは、一読するとよいだろう。 |
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『田舎暮らしの論理』 | |
五島列島での自給自足的田舎暮らしと現代社会への提言 | |
この小難しそうなタイトルは、商売的に言えば失敗ではないか。なぜならば、この本には全編を通してそのようないかめしさはなく、興味深く軽快に読み進められる本だからである。 第1章「私が辿り着いた場所」にあたる前半は、前半は著者の自給自足的生活の取り組みを紹介した田舎暮らしの「実践」の書である。著者は、奈良での5年間の貸農園利用の家庭菜園づくりを手始めに、和歌山の山村での5年間の生活を経て会社を辞職し、五島列島に移住した。移住後15年間で確立した営みは、自給用の菜園の切り盛りと現金収入獲得のための家畜の飼育とハム加工の二本柱からなる。有機栽培の米・野菜の生産はもちろんとして、自給のための加工にも積極的なのが特色である。加工は、大豆製品に加え、炭焼き・茶摘み・ビール造り・椿油の圧搾・アゴ干し(だし用にトビウオを加工)・果樹の利用など多種多様にわたる。 また、離島での自給自足的生活とはいっても、著者は決して隠遁者なのではなく、世界や日本社会へのアンテナは鋭敏さをいや増しており、加えてさまざまな場で健筆をふるっている。後半は2章からなるが、第2章「田舎暮らしの論理」では、現代社会の前提となっている科学・消費・労働・進歩主義などの問題点を指摘し、自給的生活や地域循環型経済などを次世代のキーワードとして提示している。また、第3章「辺境通信」は地元新聞などに連載したコラム集であり、著者独自の視点からさまざまなモノや社会現象・生活などに関する所感を述べている。 |
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『中高年からの田舎暮らし』 | |
千葉市緑区で暮らすライターによる田舎暮らし入門の文庫本 | |
この本は、『中高年からの田舎暮らし』(主婦と生活社,1997年)に加筆した文庫本である。フリーの編集者・ライターである著者は、1987年に千葉市緑区に移住して田舎暮らしを続けている。 序章は、10年間の実体験を通して、田舎暮らしについて見えてきたこと、つかんだことから書きおこしてある。初めての田舎暮らしの入門書として本書を手にとった読者には、入りやすい構成と言えるだろう。 本編の第1章は現在の田舎事情、第2章は田舎不動産の探し方、第3章は住まいづくり、第4章は多岐にわたる生活体験の紹介、第5章では田舎暮らしに興味を抱き始めた人が抱く疑問や迷いにQ&A形式で著者が回答している。 文庫本なのでサイズも価格も手ごろであり、文も平易で読みやすい。田舎暮らしの総論的な入門書にあげられる一冊である。ただし、全体が文章だけで構成されているので、図表や写真などを見ながら読み進むスタイルが好きな読者にとっては辛いに違いない。 |
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『番外・百姓志願「花」 デジカメで撮った田舎暮らしの365日』 | |
写真と文で伝える田舎暮らしの中の発見とよろこび | |
この本は、出版社を辞めて千葉県八街市に「中村自然農園」を開いて就農し、その傍らで高校生に英語を教えて暮らしてきた著者がデジカメにはまり、仕事や趣味のマラソンのときに撮影してきた膨大な写真を、自ら割り付けして1冊にまとめたものである。作物の花や果実、食卓の料理、草花、樹木、虫、鶏、風景などの膨大な写真を、春夏秋冬の順に配している。枚数が膨大で各ページ内にぎっしりであり、そのくどさに思わず食傷気味になる。写真集を見る感覚でページをめくっていったら途中で挫折するだろう。 しかし、この本はきちんと文を読みながらそのページの写真を見ていくと、楽しく読むことができ、同時にこの本の持つ良さを感じることができた。窮屈なまでにびっしり収められている写真の数は、編著者が自ら選んだ田舎暮らしの生き方に対する思いの強さのあらわれのように感じられた。 また、文の内容は、写真の解説や関連するコメントだけではなく、田舎暮らしを始めてからの後半生の中で実践してきたことや体験してきたこと、感じたことや考えてきたことが綴られている。田舎暮らしのライフスタイルというより、むしろ1人の人間の生きてきた道・生き方が綴られているような印象を受けた。写真は田舎暮らしの日常を撮ったものであるが、その1枚1枚に、とりわけズームで撮った写真には小さな驚きと発見があり、撮影者の感性までもが伝わってきて何とも言えない魅力を秘めている。 |
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『木立のなかに引っ越しました』 | |
娘と両親ではぐくむ那須高原での幸せ田舎暮らし | |
東京を離れて那須高原に引っ越した著者の田舎暮らしエッセイである。デビュー5年目で女優として花開き、寸暇を惜しんで仕事に打ち込むも、無理がたたって重い自律神経失調症になった著者は、ドラマのロケで初冬の奥入瀬渓谷を訪れる。それが転機となって祖母と祖母の家があった長野での少女時代の生活体験の記憶がよみがえる。このことが、自らの仕事と生活に対する考え方を変え、自然の中で暮らしたいという思いを抱かせてくれることになった。 雑木林の散歩、温泉めぐり、山菜採り、菜園づくり、ガーデニング、動物たちとのふれ合い、お祭りなど、新しい生活は自らにとって幸せな充実した日々であることが、軽妙で平易な文から伝わってくる。また、その暮らしの営みを通じて、地域の人たちとの新たな人間関係が構築されていく様子も楽しく描写されている。 さらに、著者の生活とこの本が何よりもすばらしいのは、10年間の一人暮らしを経てすっかり自立した娘がその両親と新天地に移住し、一つ屋根の下で田舎暮らしの生活体験を共有することで、新鮮味のあるとても幸せな親子の絆を日々築き上げている様子がよく伝わってくる点である。 結びには、「田舎暮らしをしたい方のために」として、土地探し、家づくり、田舎暮らしで挑戦した食品加工や料理のレシピなども紹介されている。 |
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『定年夫婦 田園ライフの愉しみ』 | |
老父の住む秋田に家を建てた夫婦の田舎暮らし | |
著者は、定年後の田舎暮らしを見据え、老父の住む郷里にセカンドハウスを建て、秋田と東京の間を妻と往来する生活を始めた。親の遺した広い農地で家庭菜園を始めたが、菜園づくりは、「婦唱夫随」のスタイルで切り盛りされている。 本の内容からは、経験不足や悪天候などがもたらすさまざまな困難を、それぞれの努力と協力、地元の知人の助力などでどうにか乗り越えてきている様子がよく伝わってくる。田舎暮らしの実際は、やはり安全・安心の「のほほん」ライフのイメージとは異なることがよくわかる本である。 また、この田舎暮らしは、郷里へのUターン型の例であり、周囲には親や本人と旧知の間柄である人も多く、いわゆるJターン・Iターンなどとは人間関係が少し異なっている点が特色である。さらに、Uターンの事例なだけに、田舎から都会に出て仕事と家族をもったサラリーマンならば誰しも直面するであろう、田舎の老親の介護や実家の屋敷・墓地・田畑などの管理や処分の問題などについても考えさせられた。 |
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『ぼくたちの古民家暮らし』 | |
茅葺き古民家の維持管理や食品生産など、スローな体験が満載 | |
現在住まいにしている茨城県内の茅葺き古民家に出会い、1998年に家族で移住してからのスローな生活をつづった体験記。 雨漏りのする茅葺き古民家との出会いからローンを組んで購入するまで、また引っ越し後の茅集めや茅葺き職人を頼んでの補修などの軌跡がくわしく示されている。茅葺き屋根に鋼鈑、壁に断熱材、窓にサッシを入れた再生古民家ではなく、古民家をそのまま住み継いでいくための努力を具体的に窺い知ることができる点で興味深かった。 その他にも、鶏を絞めて食べる体験、バイオトイレの導入、ハーブの活用、蚊帳つり、薪ストーブの効果的活用、地域のイベントや伝統行事への参加、菜園づくりや山羊の飼育、竹林の開墾、水田を借用しての米作りなど、スローな生活の体験談がたくさん盛り込まれていて楽しめる。家族が新たな地で苦労を少しずつ楽しみに置き換えながら、充実した生活を送っている様子がよく伝わってきた。 それにしても、このような生活を始めて継続していくには、やはりパートナーの理解と協力や積極性が何よりも心強いということが強く感じられた一冊である。 |
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『わたしの田舎暮らし』 | |
陶芸教室などに没頭して暮らす女性一人住まいの田舎暮らし | |
女性評論家で、赤城山中に移り住み、陶芸教室を開くとともに、美術館もつくった著者が綴ったエッセイである。著者は夫と別れ、育て上げた一男一女が独立し、精神的な支えだった父親とも死別して、第二の人生を田舎で送っている。しかし、その生活は決して時間が止まったかのような隠居生活ではなく、かなりアクティブである。 また、単身生活の著者と交流があり、心が通っているのは、身内にほかに、遠方や近所の知人・友人であるが、常に最も身近にいるのは、猫や犬などのペット、住居の周りの動植物などだ。現代は都会と田舎を問わず、ペットのセカンドライフに占める位置づけは決して小さくないようだ。 この本からは、「田舎暮らし」のあり方というよりも、単身になった女性の生き方、すなわちどのような「生きがい」を見出し、日々どのように生活していけばいいのかということについて考えさせられた。伴侶か自分のどちらかは最後に一人になるわけで、この本は、先々の単独セカンドライフを考えるよい手がかりになると思う。 |
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『やってみるか 40からの田舎暮らし』 | |
北海道への移住者を中心に働き盛り・子育て世代が決行した田舎暮らしを紹介 | |
阪神大震災を機に、42歳で北海道弟子屈(てしかが)町に移り住んだ著者をはじめ、働き盛りの25人余りの移住体験から、田舎暮らしに踏み切るためのアドバイスを紹介している。紹介例の移住先は、長野・長崎・屋久島などの例もあるが、北海道移住が圧倒的に多い。 定年移住者・早期退職移住者と違って、住宅ローンを抱え、住宅ローンを組めるだけの年収があり、子育て中のケースが多い年代の場合は、今の生活を捨てての移住には踏み切りにくい。しかし、それを乗り越え、あえて移住に踏み切った人のケースが多く収められている本なだけに、現役社会人の方には、ぜひ一読をおすすめしたい。 移住には慎重にも慎重を要するが、この世代にとって最も重要な就業・起業について、「何とかなるものさ」という言葉は「何とかなった人」のセリフであるというアドバイスが印象的だった。それにつけても、田舎暮らし体験記の類の読者は、その内容のほとんどが結論においてはサクセス・ストーリーである点に、くれぐれも留意すべきである。 |
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『北に夢あり』 | |
北海道移住の事例を移住者の個性的なライフスタイル・仕事を中心に紹介 | |
北海道新聞社の写真記者の経歴を持つ著者が、北海道への移住者をたくさんの写真と文で紹介している。その職業は、工芸家・画家・音楽家などの芸術家、新規就農者、個性あふれる飲食業や宿泊業とさまざまである。後半では、このような北海道への移住を支援するNPO法人「私設北海道開拓使の会」の活動などが紹介されている。 特徴ある職業や個性的なライフスタイルのある人を集めて紹介しているせいか、紹介されている移住者の決断力と、それを裏付ける才能や発想などには感心させられた。 また、写真からは、それぞれの移住先の町や村のロケーションが、その移住者の生活や職業としっかり合致していることがよく伝わってきて、とても印象的であった。 |
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