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 6.田舎暮らしの住まい (2003〜2004) http://inakalife.net/  


『日曜大工でつくるウッドデッキとガーデンエクステリア』
ウッドデッキ製作の実践のためのノウハウをていねいに解説

 自ら2×4工法のセルフビルドの豊富な経験を持ち、その体験から得たさまざまなノウハウをを出版してきた著者による、自作ウッドデッキをつるくための方法を解説した本。主としてウッドデッキ作成のための解説書で、これに全体の7割ほどの紙数が費やされている。残りはこれに付随するフェンス、パーゴラ、テーブル、イスなどの製作例を紹介したものだ。

 第1章は、「屋外製作の基礎知識」として、使用する木材、金物類、塗料と、必要な電動工具や手道具に関する特性や使い方などが紹介されている。第2章「デッキの基礎知識」では、ウッドデッキの設計と各部のおさまり、基礎と遣り方の例を解説している。第3章は「デッキの製作」として、基本パターンと応用パターンに分けながら、基礎や遣り方から始まって仕上げに至るまでの実例が実践的に解説されている。また、第4章は「フェンス・パーゴラ」としてウッドデッキから独立して設置するフェンスとパーゴラの製作法が紹介されている。さらに、最後の第5章「テーブル・イスなど」では、バーベキューテーブルの製作法などが解説されている。

 全体的な印象としては、DIYの豊富な実践体験を持ち、それらに関する著作を精力的に著している著者の本なので、実践的な細かなノウハウはとても役に立つと思う。ウッドデッキの作り方といえば、雑誌などの別冊ムックなどが一般的であるが、それより詳しい。しかし、設計士などではなく、実践体験者の著作であるが故に、この方の「設計」に関する解説部分には、しばしば物足りなさを感じてしまう。

 実は評者がこの本を取り寄せたとき、ウッドデッキについて最大の関心を寄せていたのは、根太・梁・束のスパンの取り方をどうするかという点であった。これについては、2×4工法の住宅のようなスパン表はないことを指摘し、「プロであっても経験や感のようなものでスパンを決めます」と紹介してる。しかし、読者はノンプロなわけで、プロだからこそ経験や勘でものを決められるのだ言えよう。

 結局、スパンについては「アメリカのハウツー書」として、出典を明示することなく、P.49に簡略なスパン表を掲載しているのみである。このように、安全性との関連が強いスパンの決定方法については、歯切れがあまり良くなかったように思う。そのような限界は持ちながらも、ウッドデッキを製作する上で役立つことは随所に紹介されており、製作前に一読すると大いに役に立つものと思う。

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『DIY工具50の極意』
DIYのための手道具・電動工具の揃え方・使い方・選び方などをわかりやすく解説

 セルフビルドの場合はもちろん、ちょっとした家具作りに、家の修理やリフォームなど、田舎暮らしならずとも、工具さえあれば、その使い方さえ分かれば、自分でやってしまえることは、意外に多いと思う。ちょっとしたことで、いちいち業者に頼んでいたらお金はいくらあっても足りない。一部の「職人」の方には失礼だが、昨今の「プロ」と素人の違いは、それをやるための道具があるか否か、その道具を使えるか否かという点が一番大きいのでは…、とさえ感じさせられる場面が少なくないように思う。

 ただ、それならば自分でと思ったときに、いくつかの超えなくてはならないハードルがある。まず、「どんな工具があるのか」という点だ。基本中の基本の工具は、中学の「技術家庭」で扱ったこともあると思うが、現在の工具事情は昔とは常識がかなり異なってきている。また、パワーツールの普及も著しく、昔は見たこともないようなすぐれもののアイデア工具もある。さらに、基本的な工具であればあるほど、今さら人に聞きにくい、誰に聞いたらいいのかということも多いと思う。この本は、その辺を写真豊富に分かりやすく解説しており、はじめの1歩が踏み出せずにいるDIY初心者にぴったりの1冊である。

 また、その工具はどの程度の性能・価格のものを、どのように購入すればよいのかという点も悩みどころだ。様々な性能・機能を備えた最高品質のものを買えればそれに越したことはない。しかし、大げさに言えば費用対効果の問題、つまり誰しも常識的にDIYにはDIYとしての「落としどころ」というものかあるはずだ。かと言って、「安物買いの銭失い」は、まっぴら御免である。この本は、様々な工具ごとにその辺の目安が見えてくるような、使い手のサイドに立った解説が書かれていて、工具を購入する際の心強いアドバイザーになってくれると思う。

 さらに言えば、この手の本の中には、往々にして編著者・出版社の影に特定メーカーの「広告宣伝」臭がプンプンする本が少なくない。しかし、この本にはそれが感じられず、公正な参考意見を著した本として素直に読み進められる点にも好感が持てた。

 内容は、1)「工具購入編−明日工具を買う人への超即レファレンス」、2)「パワーツール編−電動工具の選び方と実践テクニック!」、3)「大工道具編−使うほどに手に馴染むハンドツールの極意」、4)「作業道具編−DIYをさらに楽しくする必須アイテムたち…」、5)「計測道具編−プロとアマでは、この使い方で差がつくのだ」の全5編で構成されている。それぞれの末尾には「知ってお得なDIY役立ち情報」として、装備・粉塵対策・自作工具・メンテナンスなどのコラムやちょっとしたDIY用語集もついていて、大いに勉強になった。内容的にも、価格的にも、DIYに踏みだそうとする人が買って読んで、きっと後悔しない本だと思う。

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『キットでつくる2×4住宅マニュアル』
キットハウスづくりの域を超える2×4工法によるセルフビルドのすぐれた解説書

 著者は、セルフビルドのサポートなど、2×4住宅を幅広く手掛ける(株)モバイルホーム・ジャパンの社長である。本書はセルフビルダー体験記ではなく、業界人による2×4住宅の解説書であるが、この会社は日本の住宅建築市場の閉鎖性を「問題」として認識し、セルフビルダーが突き当たる障壁を乗り越えるサポートを行っている。

 本書の内容は、そもそも2×4工法とはどのようなものかという基礎知識の解説から入って、揃えたい工具類の説明や各段階での具体的な施工法を解説している。図や写真の多用を心がけ、解りやすい構成となっている。

 書名には「キットでつくる」とあるが、それに限定した解説に終始することなく、1からの施工を目指すセルフビルダーへの配慮も随所に見られ、2×4住宅に興味のある人なら誰もが一読してよい奥深い内容となっている。住宅金融公庫の仕様書にも記載されていない耐久性UPの一工夫などもいくつか紹介されており、一読の価値がある。なお、本書中に紹介されているWebサイトの内容も大いに勉強となる。

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『続・旧暦と暮らす 庵を結び炭をおこす』
必要最小限のスペースと直火のある生活の実践とすすめ

 
ヨットで世界を周航し、大阪南太平洋協会(NGO)を設立した著者は、一級建築士として事務所を営む一方、阪神淡路大震災の復旧ボランティアや地域おこしのコンサルタントにも携わっている。大阪と広島県加計町の二住生活者でもある。

 本書は、これらの広範な活動の中から、著者が考え、取り組んでいる「住まい方」をふたつ提言している。話は鴨長明『方丈記』に始まるが、内容は単なる懐古趣味や抽象的な観念論とは全く異なる。

 第一には、
必要最小限のスペースに住まうことの効用、すなわち生活者に快適さを追求する姿勢が現れ、その実現を体感できることの喜びを説く。

 第二に、囲炉裏の復活で、日本で失われつつある、人間の生活文化としての直火文化を取り戻すことを説く。著者は、暖房や炊事の機能に加え、火が人の心に温もりを与え、心をオープンにさせ、周囲の雰囲気を和ませる効用を重視する。

 この著者の主張は、土台となる体験が単一ではなく、他人の体験談の拾い集めでもない。多くの体験も感得も一個人の営みとして集成されている点で重みがある。


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『大きな暮らしができる小さな家』
家と外との連続性に配慮した手ごろな価格で満足のいく家づくりの事例集

 
建築家永田昌民氏の住宅設計についてのコンセプトとその多くの実例が紹介されている本である。帯に「建築家と考えるスローライフな家づくり」とあるが、広い建坪にゴージャスな設備という豪邸ならずとも、自然や光など外との接点を大切にする工夫で、手の届く価格で満足のいく快適な家をつくることができるということを示している。写真や図が豊富で、施主家族のライフスタイルやロケーションなどのバリエーションも豊富であり、それが個別に丁寧に説明されていて、とても解りやすい。

 マイホームを建てようと思った人が最初に参考にする住宅展示場の家や住宅雑誌などの家はどれもアピール力抜群のすばらしい家である。しかし、30代の中間層など大半の施主は前提となる自分の予算を眼前にしたとき現実に引き戻され、いい夢を見せてもらったという思い出を胸の片隅に工務店との打ち合わせをすすめていくというのが現実ではないかと思う。

 資金を無尽蔵につぎ込んだら「いい家」ができるのは当然の話であって、自分の予算規模に合わない例をいくつも見る暇があるのならば、このような少しでも実現性のある、あるいは部分的ではあっても採り入れられる余地のある「いい家」から学ぶことに時間を多く費やしたいものである。

 家と外との連続性を重視する視点には、大いに学ばせられた。

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『ちょっとおしゃれに田舎暮らし』
自ら解体を請負って廃材を入手するなど、様々な苦労を重ねた理想の家づくりの軌跡

 フランスの家具や建築に魅せらた山梨在住の家具作家が、フランス映画の好きな妻と取り組んだ理想の住まいづくりと住まい方を綴ったエッセイである。

 3カ月のパリ滞在で得た理想の住まいのイメージ、10年がかりの土地探しと造成の苦労、昭和27年築の旧町役場を解体請負いを条件に無償で入手したこと、苦労してこだわりの形にしていったセルフビルドの経過、完成なった家に暮らす幸福などが著されている。また、全52ページものカラーページがあり、家屋の外観やエクステリア、屋内のつくりやインテリアコーディネイトなどが紹介されていて楽しめる。

 敷地の造成から始めた大きな家屋のセルフビルドであるが、やはり住まいや住まい方に対する強い憧れや確固とした信念、そしてそれが少しずつ形になっていく喜びが、挫折することなく目標を達成させた原動力であろうことが如実に伝わってくる。

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『改訂版 木造建築 (住宅設計の実務)
木造住宅建築の設計を学ぶための正統派の「教科書」

 この本は、木造住宅建築の設計を学ぶ技術者向けに書かれたもので、専門的な解説書である。全4章で構成されており、木材の特性や規格、構造や意匠の基本を解説した第1章、地盤と基礎、軸組や床組・小屋組を解説した第2章、内装・外装の造作を解説した第3章、電気や給排水の設備工事を解説した第4章からなる。

 読んだ印象としては、正統派的、教科書的な感じで、まさに木造住宅建築のトラディショナルにしてスタンダードな解説書である。セルフビルドを考えて最初に飛びつく1冊とは言えないが、後日、他の本を数冊読んでから再度目を通してみたが、やはり基礎・基本に沿った解説しているという印象を強くした。おもしろおかしさやストーリー性などは全くないが、在来軸組工法を「素人」でもかなり理解できる内容となっている。

 TVや雑誌などでは、建築家による斬新で魅力的な印象の家づくりを目にすることが多いが、それはやはり基礎・基本をおさえたプロのなせる技というべきであろう。全部、あるいは一部であってもセルフビルドを考えている人はまず基礎をおさえておくべきと思うが、それを学ぶのに適した1冊と言えると思う。この類の本としはA5版とサイズがコンパクトで重宝である。ただし、価格は3,500円+税で、こちらの方は「コンパクト」とはいかないのが悩ましいところだ。

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