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 5.田舎暮らしの就業・起業  (〜2004)                      http://inakalife.net/

『サラリーマン、やめました−脱サラ戦士たちの「それから」』
サラリーマンという生き方を相対化し、起業に必要なメンタリティを教えてくれる本

 この本は、2003年11月から半年間にわたる『週刊ポスト』の連載記事を単行本にしたもので、25例の「脱サラ」が紹介されている。「脱サラ」に至る契機や決断、その後の生業の状況や周囲の環境の変化などが、1例ずつとりあげられている。「脱サラ」後のライフ・ステージは、田舎あり、都会ありとさまざまだが、やはり「脱サラ」する人は「戦士」であり、「戦士」たらねばならないという感想を持った。「脱サラ」志願の人には何かと参考になるであろうし、また「サラリーマン」には自分の職業・生き方を相対化してみるきっかけを与えてくれそうな本である。

 なお、本書が紹介している「脱サラ」後の生業を、以下に列挙しておきたい。

 … 防カビ施工・百名山早歩き(大型トラックの運転手)・農業と探偵・ソフトウェア開発のベンチャー企業・安売りめがねチェーン・花卉栽培・トレーラーコテージ・不登校などのカウンセラー・鍼灸治療院・僧侶・僧侶とペット霊園など・食事処と農業・墓石の訪問販売・製茶店・蕎麦屋・多国籍料理店・焼酎専門バー・野球用品専門のスポーツ店・アジア雑貨屋・ラーメン店・自家製ハムソーセージの店・山小屋で画家・和竿師・ジャズ専門のバー・ミステリーやSF中心の古書店・津軽三味線演奏家・竹とんぼキット販売と経営コンサルタント・ルアー専門の釣具店・家具工房・古書店案内サイト経営・地域生活支援のNPO設立・保育園と知的障害者の作業所・ぶどう農園・光学系玩具の開発・ステンドグラス工房・石窯焼きのパン屋・自家焙煎のコーヒー豆店・勤務や開業をしないフリーの医師・陶芸家・漁師・難聴者字幕ライターとシンガーソングライター・古代米の農園・キャラクター玩具店・酪農・海ブドウの養殖

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『食べていくための自由業・自営業ガイド』
独立して食べていくには、まさに十人十色の方法があることに気付かされる本

 自己の成功体験をベースにした起業のすすめや起業マニュアル、資格取得ガイドの類は珍しくないが、この本はそれらとはいささか趣を異にする。

 この本の著者は、<この言葉(=職業?)自体が強いインパクトを持つが>「無料職業相談所」なるものを30年以上も主宰しているというユニークな経歴の持ち主である。

 本書からは、自己の職業人としての経験と、多くの成功や失敗の実例を間近で見てきた経験とが融合した、職業というものに対する見識の奥行きと拡がりが感じられた。

 随所に「なるほど」と思わせる記述があるが、ポイントは、「何をやるか」決めたら、それを「どうやるか」突き詰めることにあるように思われた。

 この本では、各章ごとに10種ずつ40種の職業が紹介されている。農業、環境保護、地方での大都市圏のアパート斡旋業なども取り上げられており、起業を考える上で、大いに参考となるだろう。 

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『日本の農業を考える』
日本農業の背景と現状、その方向性を平易に説いた書

 日本の農業をとりまく現状を捉え、国内レベルでも、地球レベルでも、地域に応じた多様性ある、そして風土と共生できる循環型の農業を模索していく方向性が提示されている。

 また、日本農業の現状が敗戦後からはじまる「現代農業史」の視点で解説されており、占領下も、独立回復後の日米安保体制下でも、アメリカの軍事・食料戦略の枠組の中で、国や農民の農業政策・農業経営が自己決定権を喪失していった過程がよくわかる内容となっている。

 また、プラザ合意やウルグアイ・ラウンド以降、グローバリゼーションの流れの中で市場万能主義が台頭した。その結果、食品企業の海外移転が進み、生産する側の中国や発展途上国の農民も、消費する側の先進国の農民も、どちらもますます苦しい状況に立たされているという。日本の農業の現状と、その歴史的・国際的背景を知る上で、とても有益な一冊である。


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『農家のマーケティング入門』
農家のマーケティングを豊富な実例で解説

 マーケティングとは需要を新たに喚起し開発することではなく、今現在の需要を見出し、それに自分の商品を近づけ、その結果を消費者に伝えていくことであるという理解を、農業でも実践する必要を説く。

 特に「食」への信頼が揺らいでいる現在は、商品だけでなく、自分や自分の商品に関する情報を積極的に提供することが重要であるとする。

 このほか、消費者の構造とターゲットの明確化、生活と生産を維持する適正な販売価格の設定などの必要性、直売の方法などが解説されている。

 この本は、過剰な設備投資のせいで10年返済の負債3000万円を背負ったなどの自らのさまざまな失敗例や、自ら設立したNPO法人の会員の事例を紹介するなど、ケーススタディが豊富なのが特徴である。
 それにしても、「失敗」による負債返済のために、「失敗」そのものを本として商品化するビジネス・マインドには、脱帽である。

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『地方移転でリッチになろう!』
田舎は儲からないという固定観念の転換でビジネスチャンスをつかむことを説く

 この本のメッセージは、「都会=高所得」・「田舎=低所得」、したがって「地方移転=所得減」という固定観念を克服し、田舎で積極的にビジネスを展開し、都会のときよりも高所得を実現していこうというものである。

 内容は、著者自身の地方移転のいきさつに始まって、輸入品の卸売、ネット販売、ふるさと小包、蕎麦屋など、失敗体験も含めた自ら手掛けた様々なビジネスの紹介である。また、競売・薪ストーブ活用などの経費節減法の実践、住居・ペット・近所づきあい、家庭菜園など田舎での暮らしの様子も紹介されている。随所にジョークを交えながら小気味よく話が展開し、読みやすい本となっている。ただし、端々に少々下ネタ系のジョーク・小話も織り込まれており、その類の話題に強い嫌悪感を覚える方には、あまりお薦めできない。

 全体を通じては、プラスのビジネス条件に着目して、発想を豊かし、果敢に物事に取り組む著者の姿勢が、田舎でのビジネスを成功に導いているという印象を強く抱いた。田舎で起業する場合、まずはこのマインドを見習うべきであろう。


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『田舎で起業!』
田舎起業にはマーケティングに一工夫加えることの重要性を説く

 
村おこし事業や田舎での起業に取り組むときには、農林業や田舎社会、起業そのものを勘違いし、障壁にぶつかって撤退することが少なくないという。

 新規就農の農地取得、有機・無農薬栽培のための高度な栽培技術、産直に取り組む「宅配奴隷」、直販所でのダンピング合戦、炭焼きの原木調達など、様々な落とし穴が待ち受けているようだ。

 しかし、一方で、成功している事業の大半は、既成の技術や商品であっても、加工の仕方、マーケティング、品質管理、魅力的な宣伝、新たな顧客への営業など、わずかな工夫で大きな効果をあげているという。

 その発想の源は、田舎で起業する以前の経験に根ざしていることが多いということだ。

 脱サラ・起業を考える前に、その前段階の仕事でどれだけの経験を積み、どれだけ感度のよいアンテナで物事を捉え、考えてきたかが問われるようだ。脱サラにせよ、田舎暮らしにせよ、今の仕事を中途半端にしていたのでは、成功はおぼつかないようである。


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『脱サラ帰農者たち わが田園オデッセイ』
訪問取材で捉えた脱サラ帰農者たちの実態をルポルタージュ

 ノンフィクション作家が団塊の世代を中心に29人の脱サラ新規就農者を訪ねて取材したルポルタージュである。2001年出版の単行本が、2004年に文庫化されたものである。本の中では、取材で対面したときの印象や状況、脱サラまでの経歴、脱サラ就農の動機、経営状況と暮らし向きなどを克明に伝え、「今」の思いや考えなどを紹介している。

 当然のことであるが、脱サラ就農とはサラリーマンを脱して経営者になることであり、年金+αでよいならばともかく、多額の借入れをし、生活費や子どもの教育費までを稼ぎ出そうとするならば、本当に過酷な現実に直面する場合があることがわかる。

 就農10年後農業収入は横ばい、脱サラ就農しながら生活費を夜勤のアルバイトなどで工面している例も紹介されている。また、出稼ぎまでしても十分な所得が得られず、離農しようにも多額の借入れで購入した農地に買い手がつかず、妻子が家を出て離婚、最終的には本人自ら悲劇的な人生の幕引きをするといった事例も紹介されている。

 栽培技術力、資金繰り、体力と健康、家族の協力など、新規就農に求められるさまざま要件が、読んでいて自ずと浮かび上がってくる一冊である。

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『新・自然の仕事がわかる本』
自然と関わる仕事の総合案内窓口

 旧版に30種以上を増補し、「自然のしごと」全94種を、「森と山」・「海」・「大地」・「空」・「動物」・「環境」・「食べ物」の7項目に分類して紹介する。単体では生業になりにくい「しごと」も含まれ、また聞き慣れない「しごと」も多かった。また、本のサイズが大きくて扱いにくいと思ったが、各「しごと」の基本情報が視覚的に把握しやすいレイアウトで、用語の注釈欄も設けられているなど、大きさがきちんと活かされている。また、各「しごと」の相談先や情報を持つ組織などが明示されている点がよい。

 なお、言うまでもないが、本書は8頁の「本書の使い方」を熟読してから内容を読み進めたい。本書は、「仕事データ」として、「収入・注目度・安定性・ニーズ・体力・知識」などの項目をレーダーチャートを用い、5段階で示している。しかし、説明にもある通り、これらは一定条件下での判断・評価であり、一応の目安である。「評価・判断」と言うならば、それはむしろ読者に下されるのかもしれない。本書のデータをどう読み、加工し、活用するかが問われるだろう。「自然のしごと」に関心を抱く人のための「総合受付」の役割は、十分に果たせていると思う。

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『農業に転職する』
Uターン就農した元経営コンサルタントによるおすすめ就農マニュアル

 農家に生まれた著者が、経営コンサルタントから、実家に戻って農業に転職した経験を踏まえて書いた就農マニュアルである。

 表紙にある「失敗しない体験的『実践マニュアル』」のコピーに違わぬ内容で、就農前はもちろん就農後についてもフォローされている。

 内容を一読すれば即座に合点がいくものの、読まなければなかなか想いが至らないような指摘が多々あった。例えば、陸運が全盛のこの時代に、大都市圏近郊で幹線道路などに面した交通の便がよい農地を取得することは、出荷に非常に有利と思ったが、泥棒による被害が深刻だという。

 経営コンサルタントの視点とあわせ、代々の農家の生まれならではの視点にたった就農必読マニュアルであると思う。巻末付録の「読んでおきたい農業本」も役立つだろう。


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『農業という仕事』
広い視野に立った新規就農のためのガイドブック

 農業という職業の解説書というよりも、新規就農ガイドブックともいうべき内容で、就農までの経緯と営農の取り組み、それを支援する行政などのさまざまな活動が紹介されている。

 新規就農には十分な運転資金や当面の生活資金が必要といわれるが、実例を見てみると「言うは易く、行なうは難し」のようである。近年、新規就農者が増加傾向にあるとはいうものの、実状は資金・農地確保・農業技術などの面で、さまざまな困難があるようだ。

 また、新規就農者には、仕事としての農業だけではなく、国際経済の中の日本農業をみつめる眼が求められていることを強く感じた。

 超大国やその穀物メジャーの世界戦略、また国内の輸出産業などとの兼ね合いなどを考えたとき、はたして日本の農政が農業従事者の増加や食料自給率の向上にどの程度まで本気で取り組もうとしているのか疑問を抱いた。


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『電脳田舎暮らしのススメ』
田舎でSOHOというライフスタイルの現実が伝わってくる本

 
タイトルを一見すると、How to 本やガイドブックのようであるが、内容は天草に暮らす著者のヨットと実務翻訳のエッセイと言ってよいと思う。

 各章が実務翻訳(電脳・仕事)と日記スタイルをとるヨット(趣味・生活)の話題の2節立てとなっている。後ろの節はヨットに興味のある方には楽しく読めるかもしれない。
 個人の実務翻訳業については、全くイメージがなかったので勉強になった。
 受注も納入も、「田舎暮らし」ののどかなイメージとは全く似つかないようだ。
 また、「田舎暮らし」に「SOHO」と聞くと、マイペースで仕事をすることに漠然とあこがれている人には、たまらなく素敵な世界のように思えるかもしれない。

 しかし、仕事以前に、ツールであるコンピュータや通信機器、関連消耗品の設定やメンテナンス、トラブルの予防と処置などを、納期に追われながら自分で全部するのは、身近に助けを求められる会社勤めにはない厳しい側面だと思う。

 仕事の他に、ツールに対する広く深い知識や技能も、田舎でSOHOする場合には必須であると言えよう。

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『ペンション経営入門』
ペンション経営の要諦をわかりやすく解説

 この本は、日本ペンション連盟の専務理事等をつとめる著者による経営入門書である。定番通り「ペンションとは」から始まり、軒数や利用者数、売上額などの市場規模の変遷、日本型ペンションの特徴、ペンション事業の収益構造の特徴などが解説されている。

 新たな傾向としては、人件費の上昇や創業オーナーの加齢で、室数に見合った労働力確保が難しくなり、オーバーワークによって廃業に追い込まれる例もあるという。今やペンション経営は、労働量の管理が最重要項目のようだ。

 また、この本は、通り一遍の解説に終始することなく、ペンション業界とペンションのコンセプトや経営形態の将来像について、かなりの紙数を費やしている。これらの積み上げの上に、はじめて経営成功の秘訣、開業手順や資金繰りなど、タイトルとなっている「経営入門」の本題の内容が展開されている。全体的に簡潔明快で理解しやすく、まさにペンションを知り尽くした著者の書といえる。昨今、類書の出版が見あたらない中、最良の入門書であると思う。

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『ペンションおもしろ実践学』
ペンション経営における人的資質の重要性を説く

 この本は、ペンション視察のためのヨーロッパ旅行記(第1章)と、著者がコンサルティングを手掛けた様々な立地・設備などの特徴を持つ8軒のペンションの新規開業の実録(第2章)、用地選びなどに始まるペンション開業のためのさまざまなノウハウの解説(第3章)で構成されている。そのうち、第2章の実践例の紹介が半分以上のボリュームを占めている。

 用地の条件から周辺環境、オーナーの意向などをしっかり吟味して、適役の支配人夫婦を選定・育成するなど、フランチャイズ・ビジネスとしてペンション経営を行っている著者ならではの「おもしろ実践」が紹介されている。コンサルティング業務を営業内容としているので、やや隔靴掻痒の感もあるが、第2章の個別事例とあわせて、第3章の基本的な開業ノウハウも参考になると思う。

 また、百戦錬磨のコンサルタントとして、支配人候補となる夫妻の意欲・姿勢を、経営成功の鍵として重視している点が印象的であった。

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『ペンション経営のすべて』
ペンション開業のためのノウハウを詳細に解説

 この本は、ペンション経営の解説書である。著者は、販促企画・市場調査・商品開発などを仕事としており、ペンションだけでなく、さまざまなサービス業の商店経営に通じているということだ。

 本書は、まずペンションとは何かから始まって、日本における歴史、民宿など他の宿泊施設との比較や立地別のタイプ比較、レジャーの変遷との関連などが解説されている。

 第3章以降は、ペンション開業ためのアドバイスとして、オーナーに求められる適性、用地、規模、労働力、集客対策、施設設備、運営方法、計数管理のあり方などが解説されている。

 全体を通読してみると、総花的で読み進めていくにはテンポが重いような気がしたが、開業を真剣に考えている人が読むならば、「総花的」という表現も、「丁寧で詳しい」解説書ということになると思う。例えば、準備する食器類にしても、その食器の種類から、用意する数量に至るまで解説されている。

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『ペンションおもしろ経営学』
ペンションのFC経営者・コンサルタントによるペンション経営の解説

 この本の前半では、ペンションを開業した著者の生い立ちから始まり、開業を思い立ってからの開業準備やオープン後の営業の状況などが紹介されている。また、オーナーの適性、立地や設備の留意点、資金繰りなども解説されていて、この部分が最も勉強になる。

 著者は、ペンション経営を単なる生業としているのではなく、ペンションのフランチャイズ(FC)経営に乗り出している。また、FC本部だけではなく、そのノウハウを活用してコンサルタント業務も行っている。本書の後半は、この著者のビジネスモデルに関する説明である。

 その内容は、ペンションをFC経営することを推奨しているのではなく、著者のFCに加盟するオーナーのメリットを説明することが主目的のようである。

 ペンション経営のノウハウやオーナーとしての実務経験を身につけたい開業希望者、開業資金はないがペンションに住んで働いてみたいと思っている支配人希望者にとっては、十分に参考となる内容になっているように思う。

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